日大アメフト部の監督・コーチは共謀共同正犯?逮捕はされる?

日大アメフト部の暴行(傷害)事件が話題になっています。テレビでは記者会見した選手への同情や、監督コーチへの苦言などが中心です。

もっとも司法試験予備試験受験生ならば、監督コーチの刑事訴追の可能性に考えたいものです。そんな受験生の方に参考になるのがこの記事。

新たな展開を迎えた日大アメフト部のタックル事件 今後の捜査や刑事処分の見込み
前田恒彦 | 元特捜部主任検事
5/24(木) 5:30

(中略)
【前監督・コーチの刑事責任と捜査】
 もちろん、一般論として、共犯事件の場合、責任逃れや責任転嫁のために他の共犯者の関与状況などについて架空ないし過剰な供述をすることもあり得る。

 「引っ張り込みの危険」と呼ばれるもので、6月から始まる日本版司法取引制度でも問題とされているほどだ。

 ただ、前監督・コーチは、部員による犯行後、直ちに注意したり引き下げたりしなかったばかりか、その後に繰り返された危険タックルをも放置し、退場後や試合後に至っても全く叱責しておらず、むしろそうした反則行為を当初から容認していたと見られる。

 また、部員の証言は、客観的な事実の流れにも合致している。

 こうした前監督・コーチの発言内容が事実であれば、実行犯をそそのかした教唆犯となるか、共謀が認められて実行犯と同じ刑事責任を負うことになるかは別にしても、少なくとも傷害罪の共犯となることは明らかだ。

 その場合、もし実行犯を罰金刑に処するのであれば、前監督・コーチにも同様の処罰が必要だし、前者を起訴猶予にしたとしても、なお後者については起訴するに値する。

 組織的な犯罪の場合、トカゲの尻尾切りに終わらせず、背後の黒幕まで処罰しなければ意味がないからだ。

 もっとも、発言内容が濃密なコーチと異なり、部員とのやり取りが少ない前監督に関しては、部員の供述だけでは証拠が弱いと言わざるを得ない。

 そこで、前監督と部員をつなぐコーチの証言が極めて重要となるが、記者会見での供述態度を見る限り、真実をありのままに語っているにしては支離滅裂で明らかに動揺を示していた。

 情理を尽くし、正義感に訴えかけるような取調べを行えば、案外“落ちる”かもしれない。

 また、他の部員らを軒並み取り調べ、事件の前後や事件当時における前監督・コーチらの発言内容などを一つ一つ拾い上げるといった地道な捜査が必要であり、実際に警察によって行われることになるだろう。

 例えば、実行犯の部員が供述しているような前監督・コーチの発言を聞いた者はいないか、同様の指示を下された者はいないか、「潰す」という発言をどのような趣旨のものととらえるか、といった点だ。

 事件後、関係者がメールなどで口裏合わせに及んでいる可能性も高く、少なくとも日大やアメフト部、前監督・コーチ方などに対する捜索も必要ではないか。

新たな展開を迎えた日大アメフト部のタックル事件 今後の捜査や刑事処分の見込み(前田恒彦) - Yahoo!ニュース
日大アメフト部のタックル事件は、被害者が警察に被害届を提出する一方、実行犯の部員や前監督、コーチらが相次いで記者会見を行うなど、新たな展開を迎えている。今後の捜査や刑事処分の見込みを示したい。

この記事を書いたのは、元大阪地検特捜部の検察官の方です。実務家でもあるので、非常に明快です。

また引用部分にはありませんが、選手本人の刑事訴追の可能性、スポーツと正当業務(違法性)についても説明されています。

刑法(傷害罪)および刑事訴訟法(逮捕の必要性など)の教材としても参考になると思います。

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